前回は資産運用のベースにオルカンが選ばれる理由を書きました。
世界中の株式を時価総額の比率どおりに持てる商品なので株式の部分はこれ1本でも問題ありません。
何を買えばいいのか迷ったときの答えとしてよくできています。
ただ資産運用そのものをオルカンだけで済ませてよいのかどうか、となると話が変わってきます。
オルカンしか持たない状態は資産のすべてを株式に置くことになるからです。
これはリスクが高く資産運用の基本から見ると良いやり方とはいえません。
なぜリスク管理が必要なのか概観を掴みましょう。
株式100%はリターンしか見ていない
株式100%という配分は期待リターンがもっとも大きくなる形です。
それだけ聞くと良いことのよう見えますが、その代わり値下がりも丸ごと引き受けることになります。
つまり長期的には値上がりするが一時的に強烈な値下げが起きうるということです。
これが自分にとって問題がないのかどうか考える必要があります。
2008年リーマン・ショックでは全世界株式でも高値から5割を超えて下がりました。
最終的には元の値段を超えて成長していますが元の値段に戻るまで何年もかかりました。
将来的に戻るという経験則は当時も今と同じくわかっていましたが、多くの人は耐えきれず資産を手放してしまいました。
誰もが暴落が起きても自分なら耐えられると考えています。
長期的に伸びるのだから値下がりで手放すなんて愚かだ、と。
ところが実際に下落が始まってみると1割減るような変化ですら狼狽して売ってしまう人は少なくありません。
SNSを眺めていればそういう人をたくさん見かけることができます。
想像している以上に目の前で資産が減っていくストレスは耐え難いものです。
そして、気持ちの面で耐えられたとしてももうひとつ問題が残ります。
下落の時期と資産を使う時期が重なる可能性です。
出費の予定というのは相場の都合に合わせて動いてくれません。
相場が悪いから大学の進学を1年待ってほしいとは言えないわけです。
もしリーマン・ショックと出費が重なればあなたは半分になった資産をそのまま取り崩すことになります。
自分に合ったリスクに収める
そこで必要になるのが自分に合った水準までリスクを抑える管理です。
やり方そのものは難しくありません。
定番といえるのが債券を組み合わせるやり方です。
債券は株式に比べて値動きが小さいため株式と一緒に持っておけば全体の下がり方は株式だけの場合より穏やかになります。
また、株式と債券は異なる値動きをするためお互いに打ち消し合ってリスクを減らします。
単純に株式と債券のリスクの平均以上にリスクを減らす効果があるのです。
では、株式と債券はどれくらいの割合でもてばよいのでしょうか?
自分が受け入れられるリスクのほうから考えるとよいでしょう。
債券の比率が2割から5割のどこかに落ち着くことが多いです。
古典的に株式と債券の割合として上げられるものは50:50や60:40があります。後者は株式が60%です。
これは割合のシンプルさ、歴史的に多くの商品で使われてきたという背景があります。
他にも年齢の数だけ債券の割合にするというものもあります。
引退が近づくにつれて債券比率を高めリスクを逓減するということですね。
いずれにせよ、重要なのは心と支出の両面からみた自分が受け入れられるリスクです。
資産が減っても気にならず当面は使う予定もないなら債券を2~3割ほどにしてリターンを狙ってもよいでしょう。
一方で値下がりがどうしても怖い人もいます。
子どもの教育費が控えていたり住宅の購入や引退が近かったりする場合もありますね。
その場合は債券を4割から5割まで増やしておくほうが落ち着いて続けられるでしょう。
オルカン1本で終わらせないために
オルカンが良い商品であることは変わりません。
株式の部分をこれ1本で済ませる判断にも十分な合理性があります。
ただ資産運用の全体をオルカンだけで終わらせてしまうのはリスクの管理ができていないかもしれません。
将来の出費の予定と自分がどこまで下落に耐えられるかを見たうえで債券を組み入れておきたいところです。
この一手間が資産運用を長く続けるための土台になるのだと思います。