資産運用とリバランス
前回はNISAとiDeCoという制度をどう活用するかという話をしました。 ここからは「投資を始めたあと」の話に入ります。 資産運用をするとき資産を投資する割合を決めてその割合で買うのが一般的です。 しかし、買った資産のバランスは市場の変化にともなって時間とともに自然にズレていきます。 このズレを元に戻す作業が「リバランス」です。 今回はリバランスの目的と実践的な進め方について整理します。 配分は放っておくと崩れる 株式と債券は値動きが異なるため同じ配分で投資を始めても時間が経つにつれて比率は変わっていきます。 市場が成長していれば株式の方がリターンは大きいので株式の割合が自然と高まります。 たとえば株式70%・債券30%で始めたとしても、数年後には株式80%・債券20%といった配分になっていることがあります。 もちろん逆のケースもあります。 暴落後は株式の比率が下がりすぎて株式60%・債券40%となっているかもしれません。 バランスがズレているということは当初の試算に対してリターンとリスクが崩れているということになります。 株式の比率が高まっていればリスクを取りすぎている状態に無自覚のままなっているということです。 逆に暴落して債券比率が高いままでは本来取れるはずのリターンを取り損ねる配分になっているといえます。 リバランスはこのズレた比率を元の配分に戻す作業のことです。 増えすぎた株式を売却して債券を買い増す、逆に債券を売って減った株式を買うということですね。 比率を正してリターンとリスクを正常化します。 これは結果として「値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買う」ことになります。 つまり機械的に高値売り・安値買いを実行しているわけですね。 ここで重要なのはリバランスは別に相場を見て判断しているわけではないという点です。 あらかじめ決めた資産の比率というルールに従って淡々と動くだけです。 感情に左右されずに済むことがリバランスの最大のメリットになります。 「相場ではなくシンプルなルールに従って取引できる」というのは投資を続けるにあたって非常に重要です。 暴落時に相場を見て狼狽してしまうという状態を避けることにつながるためです。 人は相場が上がれば「もっと伸びるのではないか?」と欲がでる生き物です。 一方で下がれば「まだ下がるのではないか?」と不安になります。 その場の判断に任せているとこの心理に流されてしまい利益を逃したり損失を拡大してしまいます。 あらかじめ決めたルールに従って機械的に取引することで判断のブレを排除できます。 ルールを決めて淡々と守り続けることが長期的な利益に結びつくのです。 リバランスの手法:売買と新規資金 さて、実際にリバランスのやり方について見ていきましょう。 リバランスには大きく2つの方法があります。 方法1: 増えすぎた資産を売って減った資産を買う バランスが崩れたうち多い方を売って少ない方を買うということですね。 一般にリバランスというとこちらを指すことが多いでしょう。 直感的にも理解しやすいのではないかとおもいます。 この方法は王道であり基本的にはリバランスこの方法で行うと考えてよいでしょう。 課税口座の場合は売却益に課税されるという点は注意が必要です。 NISA枠でも一度売却すると枠の再利用には年間・生涯それぞれに制限があるため単純にやり直せるわけではありません。 (NISAは購入時の金額なので利益がでてから再購入するともったいないのです) そのため、可能であれば方法2を使うとよいでしょう。 税金が勿体ないからリバランスしないという人をたまに見かけますが、それはリスクとリターンのバランスを崩して資産を危険な状態にしておくほどの価値があるのでしょうか? 利益に冷静さを失って間違った判断をしていないか落ち着いて考え直すべきです。 方法2: 新規の入金・積立分を比率が減っている資産に多めに振り分ける 手持ちの新規の資金や待機資金で購入する際にバランスを整えるように購入するという方向です。 株価が上がっていれば債券を多めに買い、株価が下がっていたら株式を多めに買うという感じですね。 この方法は売却を伴わないため含み益への課税を避けることができます。 投資していない資金が必要なため誰でもできる方法ではありませんが税金がかからないというのは大きなメリットです。 ボーナスや積立などの新規資金があるならばこの方法を検討するのがよいでしょう。 とはいえ、新規の資金には限界があります。 資産全体が少額であったり、ちょっとしたバランスのズレには便利ですが大きなズレには向きません。 大きく配分がズレたときは売買による調整を検討しましょう。 タイミングの目安 リバランスの方法がわかったところで、次はいつ行うべきか考えてみましょう。 リバランスを行うタイミングには大きく2つの考え方があります。 頻度による方法: 年1回など期間を決めて見直す 乖離率による方法: 比率から一定割合ズレたら調整する この点についてVanguardが1926年から2014年までのデータを用いた検証があります。 頻度と乖離率のさまざまな組み合わせでのリターンとリスクについてシミュレーションしており、頻度や乖離率の基準を変えても大きな差がないという結果でした。 Vanguardは多くの分散されたポートフォリオにおいて「年1回または半年に1回のモニタリングと5%の乖離閾値」の組み合わせがリスク管理とコストのバランスとして妥当である、と結論づけています。 出典: Vanguard “Best practices for portfolio rebalancing” ...