朝ベッドから出るのに時間がかかったり、日曜の夜になると胃が重くなったり、通勤電車でこのままどっか遠くに連れて行かれないかなとぼんやり考えてしまったり。仕事がそこまで辛くなってくるといっそFIREして働くこと自体から降りたくなる気持ちはよくわかります。あと何年でいくら貯めれば会社を辞められるのか電卓を叩きたくなる人もいるでしょう。
でも僕は仕事が辛い人がまず目指すべきなのはFIREじゃなくて転職なんじゃないかと思っています。
FIREって要するに今の仕事が嫌すぎて働くことそのものから降りたい気持ちの表れですよね。でもよく考えると嫌なのは働くこと全般じゃなくて「その職場で働くこと」のほうだったりします。上司が理不尽とか残業が終わらないとかやってる仕事に意味を感じられないとか。これらは働くこと全体の問題じゃなくて今いる場所の問題なんですよ。それなのに解決策として仕事を丸ごと手放そうとするのは正直ちょっと大げさじゃないでしょうか。まだ試せることがいくらでも残っているのにそれを飛ばしてしまっている気がします。
しかもFIREって金額のハードルがえげつなく高いんですよね。生活費を全部運用益でまかなうとなると数千万とか億とかの単位になってきます。辛い仕事に耐えながらそこまで貯めるのに10年20年かかるとしたら、その間はずっとすり減りっぱなしになります。ゴールに着く前に心か体のほうが先に折れてしまってもおかしくありません。
その点で転職はずっと早く状況を変えてくれます。職場が変わるだけで人間関係も仕事内容も労働時間も一気に入れ替わるので、うまくいけば数ヶ月で朝のあの憂鬱が消えることもあるでしょう。FIREが人生をかけた長期プロジェクトだとしたら転職は今月からでも動き出せます。つらさが軽くなるまでの時間がまるで違うんですよ。
それに実際に移ってみて「なんだ、働くこと自体は別に嫌じゃなかったんだ」と気づく場合もあります。前の職場がしんどかっただけで環境さえ変われば仕事から得られるものもちゃんとあったりするんですよね。そうなればもうFIREを急ぐ理由自体が消えてしまいます。辛さの原因が仕事じゃなくて場所だったのなら場所を変えれば済むだけの話ですから。
もちろんFIREを目指すこと自体を否定したいわけじゃありません。それはそれで立派な目標だと思います。ただ今の辛さから抜け出したいだけならちょっと遠回りが過ぎる気もします。まずは近いところから試してみて、それでもやっぱり働くのが嫌だったらそのときFIREを考えたって遅くないはずです。